世界と日本の中古住宅管理の違い
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いつもブログをお読みいただいてありがとうございます。企画宣伝の森戸です。
今回のテーマは、築古物件の価値について書かせていこうかと思います。
私の友人との話で、「私の実家はもう築120年だ」とか「うちは160年だ」とか100年以上の家に住んでるケースがざらにあるのに日本に来てからというもの、周りの方に聞くと「もう40年です」や、「まだ14年だ」とかで、築100年以上経っている家に住んでいる方が極一部なのに驚きました。
日本では「古い家は壊して新しく建てる」が常識で、海外では手を入れながら、時に住人が代わりながら住み続ける傾向にあります。たとえば歌手のジャスティン・ビーバーが2014年にリアリティー・スターのクロエ・カーダシアンに売却した家は、もともとエディ・マーフィーの元妻が住んでいた物件です。
こちらは、わかりやすくするため、アメリカのデータを漁ってみたのですが、中古住宅の流通シェアを日米で比較すると、米国90.3%に対し、日本は13.5%にすぎない。
地震大国:日本だからなのだろうか
アメリカにはない住宅基準の要素「耐震性技術」の目覚ましい進化によって、古い家の安全性を疑うためだと指摘する人もいます。また同様に進化した「断熱性技術」がエコかつ経済的メリットがあるからだと考える人もいるようです。アメリカは、州によって大きな差があるものの、発電原料の多くを自国で賄えるため家庭用電気代の平均は日本の半分だです。
単純に、古い家には価値がないと見なされ、融資がつきにくいからという声もよく投資家様の方々からお聞きします。日本の建物は、税法上の耐用年数をもとに経年減価させる原価法により評価されています。つまり、木造住宅は約20年で「0円」という評価が常識として根付いているため、建物の担保評価はつかず、土地の評価額のみで売買されています。充分に暮らせる家でも、建物の価値を客観的に示す基準がないため、「0円」と評価されることが多いのです。
その物件が気に入った時点で古いか、新しいかは関係ないアメリカ人
シカゴとデンバーのほぼ中間に位置するネブラスカ州最大の都市です。同市で販売中の戸建ては、不動産情報サイト「Zillow」上では約1,792軒前後、そのうち新築は101軒しかないのです。逆に築30年以上の家は1087軒にものぼります。
なぜこれだけ中古住宅市場が活発なのでしょう。
それは、金融機関と連動して適正な融資金額をはじき出す「不動産鑑定評価」と、買い手を支援する「建物調査」などが後押しているからなのでは?と思われます。米国の不動産鑑定は、取引事例比較法と原価法を組み合わせて行われています。原価法は連邦法に基づいた米国鑑定基準により、内装や設備まで評価に盛り込んで建物の劣化状態や維持修繕の状況等を判断した上で「実質的な経過年数」が決定され、経済的残存耐用年数が導き出される。(先週書かさせていただいたアートも含め)
つまり、20年経った家でも新築と同等以上の評価をされる可能性があるのです。このため建物の維持・向上への意識が高く、資産価値を守るメンテナンスを施された家が売買されるというわけです。そして、この補修を毎回プロに依頼すると費用がかさむため、壁の塗り替えやフェンスの作製などDIYが暮らしに浸透しています。最近日本でもDIYが人気ですよね。
建物検査(ホーム・インスペクション)の一例をあげると、建築年代や工法別の違いを含む建築全般と地方行政の法律に精通したインスペクターが、買主立ち合いのもと2~3時間で基本項目や特徴を検査した上で、物件の現状レポートを作成します。このレポートに買主は通常約500ドルを支払い、修繕すべき箇所を確認するとともに、最終的に契約するかを判断する。米国では建物の検査基準やインスペクターの資格制度が進み、既に30州以上で制度化されている。
また、日本では古くから「マンションは管理を買え」と言われているが、米国には戸建の管理組合HOA(Home Owners Association)が資産価値を維持している住宅街があります。住宅所有者はHOAと「環境管理約款」を締結しなければならず、外観の色や素材からはじまり、庭や芝の管理まで規制は細部に及びます。例えば、傷んだ外壁や芝が刈られていないなど美観を損なっている家はHOAから警告を受け、無視し続けると罰金や訴訟まで厳しい対応を迫られるてしまうのです。
今後の日本。中古住宅市場は育つのか?
日本でも国土交通省が、米国を参考に「経年で一律減価する手法を改め、科目別期待耐用年数を基に建物の期待耐用年数を算出など、中古住宅の適切な建物評価を目指した評価手法の抜本的改善」を提言していたが、新しい情報は出てきていません。今後、住宅履歴情報などのデータベース化や、建物の適切な維持管理、インスペクションなどが促進され、資産価値が適切に評価され、中古住宅市場が育つに期待です。
現場で、不動産を売買する際(築年が30年以上の物件等)や価値の無いと判断された不動産を担保として融資を利用したい場合、不動産鑑定士に依頼することがあります。その場合には、該当する不動産が担保として適切かどうか、どの程度の金額の融資が適当かなどを判断する資料を作成してくれます。ちなみに賃貸物件の場合は、土地の価格だけではなく、入居率や収益性も「価値」を左右するので客付きが良い物件であれば、思い通り事がうまくすすむケースもあります。
皆様も、客付きが良い物件であれば、40年以上の築古物件でも、融資や売買がうまくいくかもしれません。
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